【数式処理 MuPAD 入門】
平田 浩一 / 1999年11月1日 
hirata@ed.ehime-u.ac.jp 
愛媛大学教育学部数学教室 


イントロダクション



MuPAD Lite 1.4 の起動

Window 95/98 または Window NT 4.0 の「スタート」→「プログラム」→「MuPAD Lite 1.4」→「MuPAD Lite」をクリックし MuPAD を起動します。

MuPAD のウィンドウが開きます。簡単な計算をさせてみましょう。 ウィンドウの第1行目の赤い丸●の後に

● 4*5+6/7;

と入力し、[Enter]キーを押してみましょう。

● 4*5+6/7;

			146/7

電卓での計算に似ていますが、割り算は分数計算です。

次に 100 の階乗を計算してみましょう。

● 100!;

93326215443944152681699238856266700490715968264381621468592963895217599993\
22991560894146397615651828625369792082722375825118521091686400000000000000\
0000000000

こんな大きな整数も計算できます。

■ フォント設定

フォント設定が悪いと計算結果が正しく表示されません。 (x + y)5 を展開して、ためしてみましょう。

● expand((x+y)^5);

と入力し、[Enter]キーを押してみましょう。

● expand((x+y)^5);

               5    5        4      4         2  3       3  2
              x  + y  + 5 x y  + 5 x  y + 10 x  y  + 10 x  y
 

このように表示されればよいのですが、フォント設定がまずいと

● expand((x+y)^5);

       5   5   4    4    2  3     3 2
         x  + y  + 5 x y  + 5 x  y + 10 x  y  + 10 x  y

のようなわけの分からない表示になってしまいます。

計算結果がきれいに表示されなかったのは出力用フォントとして固定幅フォントが設定されていないからです。 設定しましょう。

MuPAD のメニューから、「View」->「Options...」を選択します。 「Fonts」タグを開き、「Output Regions...」ボタンをクリック、 MSゴシック・太字・10ポイントを選択、さらに色としてたとえば濃紺を選択し、 「OK」ボタンをクリックします。

同様に「Input Regions...」も設定しましょう。 最後に、「OK」ボタンで「Option」パネルを閉じます。

もう一度上と同じ計算を実行し、表示を確認してみましょう。

● expand((x+y)^5);


MuPAD による計算例

MuPAD ではどんな計算ができるのでしょうか。

いくつか計算例をあげて紹介します。実行例にしたがって計算してみましょう。

■ 267-1 は素数か。素数でなければ素因数分解せよ。
● m:=2^67-1;

                           147573952589676412927

● isprime(m);

                                   FALSE

● ifactor(m);

                    [1, 193707721, 1, 761838257287, 1]

267-1 は素数ではありません。 193707721×761838257287 と素因数分解できます。

■ x100+y100 を因数分解せよ。
● Factor(x^100+y^100);


  4    4    16    16    4  12    8  8    12  4
(x  + y ) (x   + y   - x  y   + x  y  - x   y )

     80    80    20  60    40  40    60  20
   (x   + y   - x   y   + x   y   - x   y  )

100 次多項式も因数分解できてしまいます。 この因数分解は有理数係数での分解です。

■ 数列の和 Sn = 15+25+35+…+n5 を求めよ。
● sum(k^5,k=1..n);

                               4    2    5    6
                            5 n    n    n    n
                            ---- - -- + -- + --
                             12    12   2    6

数列の和 Sn を一般項で求めることができます。

■ 関数 f(x)=1/(1+x2) を微分せよ。
● diff(1/(1+x^2),x);

                                     2 x
                                - ---------
                                    2     2
                                  (x  + 1)

■ 関数 f(x)=1/(1+x2) の不定積分と、 区間 [0,2] での定積分を求めよ。
● int(1/(1+x^2),x);

                                     / 1 \
                                -atan| - |
                                     \ x /

● int(1/(1+x^2),x=0..2);

                              PI
                              -- - atan(1/2)
                              2

ちょっと見にくいですが、「¥」記号を「\」に読み替えると、 -atan の後は大きな括弧を表していることが分かります。

■ 関数 y=sin(x) のグラフを求めよ。ただし 0 ≦ x ≦ 2π とする。
● plot2d([Mode = Curve, [x, sin(x)], x = [0, 2*PI]]);

グラフィックスウィンドウが開いて、グラフが表示されます。



MuPAD の機能

■ 計算結果の表示・非表示

例題でみたように、入力行の最後はセミコロン(;)です。 これは計算結果を表示しなさいという意味です。

計算結果を表示させない場合はコロンで(:)で終わります。 次の例でみてみましょう。コロン(:)で終わっている1行目の入力に対して、 計算はしているのですが、計算結果の表示されません。 セミコロン(;)で終わっている2行目の入力に対しては、 計算結果を表示します。

● m:=2^67-1:

● m:=2^67-1;

                           147573952589676412927

また、よく間違うことですが、 最後のセミコロンまたはコロンを付け忘れてしまった場合はどうなるでしょうか。

● m:=2^67-1
Syntax Error: Unexpected end of file

m:=2^67-1
        ^
● 

構文エラー(Syntax Error) と表示されます。 一度計算を実行した行は、もう修正ができません。 もう一度、今度はセミコロンを忘れずに、同じものを入力します。

● m:=2^67-1
Syntax Error: Unexpected end of input

m:=2^67-1
        ^
● m:=2^67-1;

                           147573952589676412927

■ 複数行にまたがる入力

複数行にまたがる長い式を入力したいときがあります。 このような場合は「Shift」+「Enter」を用います。

「Shift」+「Enter」は、 入力はまだ終了していません次の行に継続します、 ということを MuPAD に知らせます。 これによって複数の行を一つの入力として扱うことができます。

「Enter」キーは入力終了、計算開始を意味します。

● x+2*x^2				(「Shift」+「Enter」で改行)
● +3*x^3+4*x^4;

                                 2      3      4
                          x + 2 x  + 3 x  + 4 x

また、「Shift」+「Enter」を使い、 いくつかの計算を一括して処理することができます。

● 5+3;					(「Shift」+「Enter」で改行)
● 5-3;

                                     8

                                     2

一行の中で複数の計算をさせることもできます。

● 5+3; 5-3;

                                     8

                                     2

■ 計算内容の印刷・保存

MuPAD で行った計算内容を印刷するには、「File」メニューから、 「Print」を実行します。

また、ファイルに保存するには、「File」メニューから「Save」を 実行します。 テキストファイルで保存されます。

■ オンラインマニュアル

MuPAD にはオンラインマニュアル(英文)がついています。

オンラインマニュアルを開くには、 メニューから「Help」->「Open Manual」をクリックします。

オンラインマニュアルを検索するには、 メニューから「Help」->「Browse Manual」をクリックします。

また、個々の関数の説明を見たい場合は、 ?マークをつけて関数名をノートブックに入力します。 オンラインマニュアルの検索ページが開きます。

● ?isprime

■ 計算を止める

計算がいつまでたっても終了しないときには、 メニューの「Session」->「Stop Kernel」をクリックします。 それでも止まらないときがあります。 そのときは MuPAD を終了させるしかないようです。


【数式処理 MuPAD 入門】