【数式処理 MuPAD 入門】
平田 浩一 / 1997年10月29日 
hirata@edserv.ed.ehime-u.ac.jp 
愛媛大学教育学部数学教室 


イントロダクション



MuPAD の起動と設定

Window 95 または Window NT 4.0 の「スタート」->「プログラム」から「MuPAD for Windows 95」->「MuPAD for Windows 95」をクリックし MuPAD を起動します。

最初にフォント設定を行います。設定が悪いと計算結果が正しく表示されません。 ちょっとためしてみましょう。

ノートブックウィンドウ(Notebook1 となっていると思います)の第1行目の黒い丸●の後に

● expand((x+y)^5);

と入力し、[Enter]キーを押してみましょう。

● expand((x+y)^5);

               5    5        4      4         2  3       3  2
              x  + y  + 5 x y  + 5 x  y + 10 x  y  + 10 x  y
 

このように表示されればよいのですが、フォント設定がまずいと

● expand((x+y)^5);

       5   5   4    4    2  3     3 2
         x  + y  + 5 x y  + 5 x  y + 10 x  y  + 10 x  y

のようなわけの分からない表示になってしまいます。

■ フォント設定

計算結果がきれいに表示されなかったのは出力用フォントとして固定幅フォントが設定されていないからです。 設定しましょう。

MuPAD のメニューから、「View」->「Options...」を選択します。 「Notebook」タグを開き、「Output Font」ボタンをクリック、 MSゴシック・ボールド・10ポイントを選択、さらに色としてたとえば濃紺を選択し、 「OK」ボタンをクリックします。

同様に「Input Font」も設定しましょう(色は黒にしましょうか)。 「Text Font」もお好みで設定しましょう。 最後に、「OK」ボタンで「Option」パネルを閉じます。

もう一度上と同じ計算を実行し、表示を確認してみましょう。

● expand((x+y)^5);

きれいに表示されたら、メニューから「View」->「Save Settings」をクリックし、 設定を保存します。
MuPAD による計算例

MuPAD ではどんな計算ができるのでしょうか。

いくつか計算例をあげて紹介します。実行例にしたがって計算してみましょう。

■ 267-1 は素数か。素数でなければ素因数分解せよ。
● m:=2^67-1;

                           147573952589676412927

● isprime(m);

                                   FALSE

● ifactor(m);

                    [1, 193707721, 1, 761838257287, 1]

267-1 は素数ではありません。 193707721×761838257287 と素因数分解できます。

■ x100+y100 を因数分解せよ。
● Factor(x^100+y^100);

  80    80    20  60    40  40    60  20
(x   + y   - x   y   + x   y   - x   y  )

  16    16    4  12    8  8    12  4    4    4
(x   + y   - x  y   + x  y  - x   y ) (x  + y )

100 次多項式も因数分解できてしまいます。 この因数分解は有理数係数での分解です。

■ 数列の和 Sn = 15+25+35+…+n5 を求めよ。
● sum(k^5,k=1..n);

                              2      4    5    6
                             n    5 n    n    n
                           - -- + ---- + -- + --
                             12    12    2    6

数列の和 Sn を一般項で求めることができます。

■ 関数 f(x)=1/(1+x2) を微分せよ。
● diff(1/(1+x^2),x);

                                     2 x
                                - ---------
                                    2     2
                                  (x  + 1)

■ 関数 f(x)=1/(1+x2) の不定積分と、 区間 [0,2] での定積分を求めよ。
● int(1/(1+x^2),x);

                                     / 1 \
                                -atan| - |
                                     \ x /

● int(1/(1+x^2),x=0..2);

                              PI
                              -- - atan(1/2)
                              2

ちょっと見にくいですが、「¥」記号を「\」に読み替えると、 -atan の後は大きな括弧を表していることが分かります。



MuPAD の機能

■ 計算結果の表示・非表示

例題でみたように、入力行の最後はセミコロン(;)です。 これは計算結果を表示しなさいという意味です。

計算結果を表示させない場合はコロンで(:)で終わります。 例でみてみましょう。

● m:=2^67-1:

● m:=2^67-1;

                           147573952589676412927

また、よく間違うことですが、 最後のセミコロンを忘れてしまった場合はどうなるでしょうか。

● m:=2^67-1

● 

何も表示されません。 カーソルを m:=2^67-1 の行末に移動し、 セミコロンを追加したのち「Enter」キーを押してみます。

● m:=2^67-1;
Syntax Error: Unexpected end of input

m:=2^67-1
        ^
                           147573952589676412927

このようにセミコロンなしで入力した間違えた行に対するエラーメッセージと、 次に入力した正しい入力の計算結果が一度に出てきます。

もう一度同じ行にカーソルを移動して、 「Enter」キーを押すことでエラーメッセージは消えます。

■ 複数行にまたがる入力

複数行にまたがる長い式を入力したいときがあります。 このような場合は「Shift」+「Enter」を用います。

「Shift」+「Enter」は、 入力はまだ終了していません次の行に継続します、 ということを MuPAD に知らせます。 これによって複数の行を一つの入力として扱うことができます。

「Enter」キーは入力終了、計算開始を意味します。

● x+2*x^2				(「Shift」+「Enter」で改行)
● +3*x^3+4*x^4;

                                 2      3      4
                          x + 2 x  + 3 x  + 4 x

また、「Shift」+「Enter」を使い、 いくつかの計算を一括して処理することができます。

● 5+3;
● 5-3;

                                     8

                                     2

一行の中で複数の計算をさせることもできます。

● 5+3; 5-3;

                                     8

                                     2

■ テキストの入力

ノートブックにはコメントや説明文を書き込むためのテキスト入力モードがあります。

カーソルが黒丸で始まる数式入力行にあるときに、 ファンクションキーの「F5」を押すことで、 行頭の黒丸が消えてテキスト入力モードに切り替わります。

テキストの入力を終え改行した後で、 もう一度「F5」キーを押すと数式入力モードに戻ります。

定積分の計算
● int(sin(x),x=0..PI);

                                     2

■ ノートブックの保存・印刷

ノートブックをファイルに保存したり、 ファイル保存しているノートブックを開いたりするには、 「File」メニューから「Save」、「Open」を実行します。 印刷も同様です。

■ オンラインマニュアル

MuPAD にはオンラインマニュアル(英文)がついています。

オンラインマニュアルを開くには、 メニューから「Help」->「MuPAD Manual」をクリックします。

また、個々の関数の説明を見たい場合は、 ?マークをつけて関数名をノートブックに入力します。 オンラインマニュアルの該当ページが開きます。

● ?isprime

■ 計算を止める

計算がいつまでたっても終了しないときには、 メニューの「Session」->「Stop」をクリックします。 それでも止まらないときがあります。 そのときは MuPAD を終了させるしかないようです。


【数式処理 MuPAD 入門】