- 第107回 : 2025年8月1日 (金) 16:30--17:30
- 場所 : 愛媛大学理学部2号館(数学棟)2階 大演習室(201) (対面開催のみ。参加をご希望の方は直接現地にお越しください。)
- 講演者 : 石川 彩香 (室蘭工業大学)
- 題目 : グラフゼータ函数の伊原表示と最近の研究について
- 概要 : グラフゼータ函数はグラフ上で定義される形式的冪級数である.その発端は1966年に伊原康隆によって導入された伊原ゼータ函数に始まる.これは数論的観点で定義されたものであったが,J-P.Serre,砂田利一,橋本喜一朗らの研究を経て,有限グラフ上のゼータ函数としての伊原ゼータ函数が構築された.近年では,グラフスペクトルや量子ウォーク,結び目不変量,さらにはグラフの岩澤理論などへの応用も行われており,グラフゼータ函数の多岐にわたる可能性に注目が集まっている.
今日に至るまで,伊原ゼータ函数をもとに様々なグラフゼータ函数が構築・研究されてきたが,その議論の中枢には常に伊原表示の存在がある.伊原表示とはグラフの構造に関する行列を用いた行列式表示である.その特徴から,グラフ構造に関連する応用研究においては議論の根幹を担っている.一般に,ゼータ函数の行列式表示は極や零点の特定に繋がることからも,非常に有用な表示と認識されている.だが一方で,グラフゼータ函数の伊原表示の定義は与えられておらず,構成条件の特定にも至っていない.
本講演はグラフゼータ函数に馴染みのない方へ向けて,伊原表示に関するこれまでの研究と,現在までに得られた定義の考察を紹介する.
- 第106回 : 2025年5月9日 (金) 16:30--17:30
- 場所 : 愛媛大学理学部2号館(数学棟)2階 大演習室(201) (対面開催のみ。参加をご希望の方は直接現地にお越しください。)
- 講演者 : 松坂 俊輝 (九州大学)
- 題目 : Quasi-modularity in MacMahon partition variants and prime detection
- 概要 : 約数関数のある種の多重化として1920年に導入されたMacMahonの分割関数は,近年,準モジュラー形式の観点から再び注目を集めている.本講演では,円分多項式の研究においてLehmerが導入した多項式を用いることで,MacMahon自身が考察したレベルNのMacMahon関数についても準モジュラー性を示し,その応用として,Craig-van Ittersum-Ono (2024) の素数検出の話題について紹介する.(江原大学校のSoon-Yi Kang氏および成均館大学校のGyucheol Shin氏との共同研究)