2023年度の講演予定・講演記録
- 第93回 : 2023年9月15日 (金) 16:30--17:30
- 場所 : 愛媛大学理学部2号館(数学棟)2階 大演習室(201) (対面開催)
- 講演者 : 土岡 俊介 (東京工業大学)
- 題目 : Kanade-Russell予想の頂点作用素解釈
- 概要 : (第一)Rogers-Ramanujan恒等式(分割定理)は、「隣り合ったパートの差が2以上のnの分割の個数は、各パートがmod 5で1,4であるnの分割の個数と等しい」という主張である。Kanade-Russell予想(2014年)はこれと似た主張で、「隣り合ったパートの差が1以下ならばそれらの和が3で割り切れ、2つ隣りのパートの差が3以上のnの分割の個数は、各パートがmod 9で1,3,6,8であるnの分割の個数と等しい」といった予想である。本講演では、Lepowsky-WilsonによるRogers-Ramanujan恒等式の頂点作用素解釈を参考に、D^{(3)}_4型アフィン・リー環のレベル3可積分表現でprincipal pictureの頂点作用素を用いて、Kanade-Russell予想が主張している「等しい」を「以上である」に弱めた主張を示す。また同じ考えをA^{(2)}_4に適用すると、mod 16の分割定理が得られることを紹介する(そのうちの1つは、イジング模型の研究からAndrews-van Ekeren-Heluaniが少し前に得ていたものである)。
- 第92回 : 2023年6月14日 (水) 16:30--17:30
- 場所 : Zoom によるオンライン開催
- 講演者 : 大井 雅雄 (京都大学)
- 題目 : Galois表現のSwan導手の関手的振る舞いについて
- 概要 : p進体のGalois表現に対して定義される不変量の一つに,Galois表現のある意味での複雑さの度合いを測る「Swan導手」と呼ばれるものがある.Galois表現が与えられると,そこからたとえば外積や対称積などの線形代数的操作によって別のGalois表現を作ることができる.そこで,Swan導手がこうした操作の下でどう変化するか,という自然な問が考えられる.今回の講演ではこの問題に関して,2次の外積と対称積の場合に得られたいくつかの結果を紹介する.本講演はパリ・サクレー大のGuy Henniart氏との共同研究に基づく.