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大学院教育学研究科と教育学部の学生グループが松山市立道後保育園で藍の抜き染めを行いました
2014/09/10
平成26年8月29日(金),愛大GP「伝統の継承プログラムを通したグローカルマインドの育成」事業として,大学院教育学研究科1年の和田敬行さんをリーダーとする学生グループ10人が,松山市立道後保育園で園児50人とステンシル版画を用いた藍の抜き染めを行いました。
本事業は,本学が支援する教育改革促進事業(愛媛大学GP)で,昨年度に続き今年度も採択されたものです。忘れられようとしている地域の伝統を復権する作業を通して,自らの来歴を知り,伝統に立脚した人格を育成して,世界に通じるグローカルマインドを持つ人材を育成することを目的としています。
愛媛県の伝統の織物に「伊予絣」があります。伊予絣は,藍染めを用いた織物で,明治36年には絣の全国生産量1位になり,愛媛県は伊予絣を通じて全国に知られていました。しかし現在,愛媛県を含む四国で藍染めは衰退しており,藍染めを知らない子どもたちが増えています。そこで,本事業では,伝統の継承プログラムを通じて,地域の一員として自覚と誇りを持って行動し,目的達成のために多様な人と協働する,グローカルマインドをもった次世代を担うリーダーとなる人材を育成することを計画しました。
今回も,報道で本事業を知った道後保育園から依頼があり実施しました。当日は,学生統括リーダーの教育学研究科1年の和田敬行さんをリーダーとして,農学研究科1年の高柳知佳さん,教育学研究科1年の塩崎香菜さん,橋本愛さん,風呂圭祐さん,平井ありささん,教育学部4年生の前田莉菜さん,橋崎友衣子さん,3年生の市本早香さん,八ヶ代綾香さんの10人が,道後保育園の先生方と協働して実施しました。
藍の抜き染めは,染み抜きの原理を応用したものです。木綿ハンカチを本学で藍染めしておき,園児たちには人気キャラクターなどのステンシル版画から抜き染めしたい柄を選んでもらって行います。抜き染めの手順は,①藍染めした木綿ハンカチに,ステンシル版画を載せて固定する,②抜き染め剤(台所用漂白剤,でんぷん糊,片栗粉を混ぜた物)を塗る,③ズボンプレッサーで3分間乾燥する,④洗う,⑤干す,の5段階で行います。抜き染め剤は家庭用を用いるため安全で,かつズボンプレッサーで乾燥させて洗うだけで完成するため,園児でも手早く行うことができます。また,ズボンプレッサーを使うと,消費電力も少なく,短時間で効率良くステンシル版画の型を抜き染めすることが可能であり,実施が容易になっています。
園児たちは,それぞれ人気キャラクターを選んで抜き染めを行い,きれいにできるように一生懸命抜き染め剤を塗りました。そして,ズボンプレッサーで抜き染めした結果を見て,大喜びで洗い場に飛んで行きました。園児たちは大はしゃぎで,園の先生に「先生,とっても楽しかった」,「先生,僕のこれを見て!」と藍染めの楽しかった話題で持ちきりでした。
藍の抜き染めの実施は今年で3年目となり,外部からの依頼によって事業が実施される状況が軌道に乗ってきたことは,学生中心の活動として,本事業が根付いてきたことを示唆していると思います。
保育園の先生方,そして園児たちと協働しながら,伝統文化に思いを巡らせた学生たちは,新たなグローカルについて考えたことと思います。
本事業は,朝日新聞社,愛媛朝日放送局,愛媛新聞社,NHK松山放送局,読売新聞社,クルールえひめ(ジャステム西広社)の取材を受けました(五十音順,敬称略)。
今後は虹のそら保育園,道後聖母幼稚園での実施を予定しています。