愛媛大学代数セミナー

2022年度の講演予定・講演記録

  • 第88回 : 2022年9月2日 (金) 16:30--17:30
  • 場所 : Zoom によるオンライン開催
  • 講演者 : 野崎寛(愛知教育大学)
  • 題目 : 整数環の素イデアルを用いたs-距離集合の上界の改善
  • 概要 : ユークリッド空間の有限集合Xで,互いに異なる2点間の距離の種類がs個のとき,Xをs-距離集合という。s-距離集合の元の個数には,ある自然な上界があり,元の個数が最大であるs-距離集合を決定することが主問題となる。最大なs-距離集合の決定には,良い具体例の構成と上界の改善が必要である。Xの距離が整数しか現れないとし,ある素数pを法として,距離の個数がr個(r < s)となるとき,既存の上界が改善できることが知られている[Blokhuis(1983)]。
    本講演では,この定理を代数体の整数環とその素イデアルへ拡張する。また与えられた上界を達成する例についても紹介したい。講演の前半部分では,s-距離集合について,関連する数学的対象や代数的組合せ論(主にデルサルト理論)における位置づけについて概説したい。
  • 参加申し込みフォーム : https://forms.gle/JEEGveBZ12ydM7wg8
  • 第87回 : 2022年7月1日 (金) 16:30--17:30
  • 場所 : Zoom によるオンライン開催
  • 講演者 : 中筋麻貴(上智大学)
  • 題目 : Schur $P$型,Schur $Q$型 多重ゼータ関数の導入
  • 概要 : Schur多重ゼータ関数は,Euler-Zagier型多重ゼータ関数の一般化 として導入された多重ゼータ関数で,Schur関数の組合せ論的表示と類似構造をもつ.先行研究において,この関数のJacobi-Trudi型の行列式表示をはじめとするいくつかの行列式表示やPieri型公式といった組合せ論的性質を得ることができ,組合せ論的観点からの多重ゼータ関数論の研究に貢献している.
    本講演では,このSchur関数の組合せ論的表示の観点に着目し,Schur多重ゼータ関数の紹介からはじめ,新たに,Schur $P$関数,およびSchur $Q$関数の組合せ論的表示と類似構造をもつ多重ゼータ関数の導入と挙動の考察結果について紹介する.特に,Schur $Q$型の多重ゼータ関数については,Pfaffian表示を得たので,これを報告する.本講演は,武田渉氏(東京理科大学)との共同研究に基づく.
  • 第86回 : 2022年6月24日 (金) 16:30--17:30
  • 場所 : Zoom によるオンライン開催
  • 講演者 : 斉藤朝輝(公立はこだて未来大学)
  • 題目 : 区分的線形写像を含む区分的1次分数写像の真軌道計算と, その擬似乱数生成への応用
  • 概要 : 倍精度浮動小数点数などの固定ビット長の数表現を使って力学系のシミュレーション(軌道生成)を行うと,丸め誤差などの数値誤差がシミュレーション結果に混入してしまう.このことは,初期値鋭敏性を特徴としてもつカオス力学系のシミュレーションにおいて,特に深刻な問題となりうる.この講演では,適切な次数の代数的数を用いることにより,有理数係数の区分的1次分数写像(区分的線形写像を含む)の真軌道を計算する方法について紹介する.また,この方法をBernoulli写像や連分数変換など,従来法ではシミュレーションが困難だった写像に適用し,これらの写像の典型的な軌道と同じ性質を示す真軌道が十分長く生成できることを報告する.さらに,この方法の擬似乱数生成への応用についても紹介する.
  • 第85回 : 2022年4月22日 (金) 16:30--17:30
  • 場所 : Zoom によるオンライン開催
  • 講演者 : 戸次鵬人(慶應義塾大学)
  • 題目 : Heckeの積分公式のコホモロジー論的解釈とゼータ関数の特殊値について
  • 概要 : 実2次体のゼータ関数の特殊値は,モジュラー曲線上の閉測地線に沿ったEisenstein級数の積分として書けることが,古典的なHeckeの積分公式によって知られている.このような積分公式には様々な拡張やコホモロジー論的解釈が与えられており,豊富な応用を持つことが知られているが,その多くは,総実体のL関数の臨界値に関する事柄となっていた.本講演では,Heckeの積分公式のコホモロジー論的解釈をより一般の代数体の非臨界値も含む場合に拡張する試みと,現在得られている結果について,背景なども含めて解説したい.