愛媛大学代数セミナー

次回以降の講演予定

  • 第70回 : 2019年11月29日(金) 16:30--17:30
  • 場所 : 愛媛大学理学部2号館2階 大演習室(201)
  • 講演者 : 桂田英典(室蘭工業大学名誉教授)
  • 題目 : Klingen-Eisensteinリフトの合同とHarder予想
  • 概要 : よく知られているように,$SL_2(\mathbb Z)$に関するEisenstein級数とcusp形式の間にはBernoulli数を割る素数を法として合同があることが知られています。このように,保型形式の間の合同を考えることは整数論にとって興味深く重要な 問題です。
    本講演では,Siegel cusp形式の(一般にはベクトル値の)Klingen-Eisensteinリフトと呼ばれる保型形式と他の保型形式の合同についてお話しします。これはスカラー値の場合は10年ほど前の水本信一郎氏との共同研究によるもので,今回はそれのベクトル値への一般化です。証明の鍵となるのは小島教知氏によるSiegel Eisenstein級数のpullback formulaと 伊吹山知義氏による保型形式の空間上の微分作用素の明示公式です。
    次に,Harder予想についてお話します。Harder予想は重さ$2k+j-2$の$SL_2(\mathbb Z)$に関する原始形式(正規化されたHecke作用素の同時固有関数)のFourier係数が重さが$\det^k \otimes Sym^j$のあるHecke固有形式の固有値とある素イデアルを法として関係することを主張します。今日までこの予想が解かれているのは(私の知る限り)ChenevierとLanessによる$(k,j)=(10,4)$の場合のみです。この予想が難しい理由の一つは上に述べた合同が2つのHecke固有形式の合同ではないことです。
    本講演では$f$のDuke-Imamoglu-IkedaリフトのKlingen-Eisensteinリフト(リフトのリフト!)とある別のリフトの間の合同に関する予想を述べます。(このリフトの存在はスカラー値の時は伊吹山氏によって予想され,本質的にはChenevier-Renardのある結果からベクトル値の場合も含めて示されるのですが,その詳細は跡部発氏のプレプリントarXiv:[math.NT]1810.09089v1にあります。)そして, この予想からHarder予想が導かれることを示します。最後に,最初に述べたことの応用として,私の予想が(それ故Harder予想が)成り立ついくつかの例を紹介します。
  • 第71回 : 2019年12月20日(金) 16:30--17:30
  • 場所 : 愛媛大学理学部2号館2階 大演習室(201)
  • 講演者 : 小森靖(立教大学)
  • 題目 : 有限多重ゼータ値, 対称多重ゼータ値, および補間ゼータ関数について
  • 概要 : 有限多重ゼータ値と対称多重ゼータ値の間に一対一対応が存在するというのが金子-Zagier予想である. 本講演では, 有限多重ゼータ値については値の母関数を導入し, また対称多重ゼータ値については自然な補間となるゼータ関数を導入することによって, それぞれについて, インデックスが非正の場合を考察し, この領域においては金子-Zagier予想における対応の自然な拡張が成り立つことを示す. また時間があれば, これらのゼータ値および最近研究されている一般化有限多重ゼータ値や一般化対称多重ゼータ値を全て補間するゼータ関数とその性質を紹介する.