吉松靖文研究室

 


コラム


 仕事を通じて感じたつれづれなるままの雑記



発達検査

 発達検査は子どもを障害児にするためにするのではありません。子どもの得意・不得意を特定し子どもにあったかかわり方・教え方を明らかにするために行います。検査の結果,子どもにどうしたらよいかがわからなければ,検査をやる意味はありません。検査結果を見れば,子どもの特性やつまずきの原因がわかる。そして,子どもにどう教え,どう育てたらよいかがわかる。そのためにやるのです。それは,医者が検査をして治療をするのと同じです。子どもの個性・特性を明らかにするのが発達検査なのです。



勉強するということ

 子どもはなんのために学校で勉強するのでしょうか。子どもになぜ勉強するのかを説明できますか。子どもは勉強を通してなにを学んでいるのでしょうか。
 はじめから勉強嫌いの子どもはいません。子どもは学ぶことが好きです。わからないことがわかるようになることが好きです。そして,先生(大人)に認めてもらいたいという気持ちを持っています。でも,いくら努力してもわからない,できないとしたら,学ぶ意欲は当然失われるでしょう。努力してもわからないとき,「がんばれ」とか「考えろ」と言われて,がんばれるでしょうか?考え続けられるでしょうか?勉強の中で,わからないところを教えてもらって(助けてもらって)わかるようになれば,子どもは先生を信頼します。先生が大好きになります。先生の言うことを聞きたい子どもになります。
 子どもは,勉強を通して,自分の得意・不得意を評価する練習をします。だから,苦手な勉強があっても,自分がそれは苦手だとわかることがいいことです。苦手があるのがいけないことではありません。苦手なりに努力できることが大切です。
 最近,学校の先生にお勧めしていることがあります。小テストを自己採点させるのです。答えを見せて,正解には○を,不正解には正しい答えを書かせます。そして,自己採点後に先生がチェックします。不正解であっても答えを見て正しい答えを書けていればいいのです。全問正解ばかりが良いわけではありません。全部間違っても,答えを見て正しい答えを写せることが良いことです。これは,自分の誤りに気がつく練習です。自分の弱さに向き合う練習なのです。人から評価されるのではなく,自分で自分を評価する練習です。



宿題

 宿題を毎日2,3時間かけて教えている親がいます。最初は冷静な親もだんだん興奮して最後は親はキレ,子どもは泣いています。教員免許もない親が,家で宿題を見てやることで,うまく教えられないばかりか,親子関係まで悪くしている。そんな例を見ます。担任の先生は子どもに宿題を出しますが,親に宿題の見方は教えてくれません。素人が見よう見まねで教えている。これでは無免許運転ですね。
  • 保護者の皆さんへ
     宿題の時間は決めてください。30分もやらせれば十分です。それも嫌がる子どもだったら5分でもOKです。そうして,嫌なことには終わりがあることを教えてください。決めた時間でできなかったところは答えを教えてください。作文を書くのが嫌な子どもはかわりに書いてやってください。音読を嫌がる子どもには読んで聞かせてやってください。そうやって,親(大人)は偉いんだ・すごいんだということを実感させてください。説明して理解させようとすると時間もかかるし,なによりも親がイライラしてしまいます。親の仕事は勉強を教えることではありません。宿題は早く切り上げて,家事をしたり団らんを楽しみましょう。宿題なんかで親子関係を悪くするのはやめませんか。

  • 先生方へ
     勉強を教えるのは先生の仕事です。親の仕事は子育てです。先生が教えてうまく身に付かないものを親が教えて身に付くわけはありません。宿題の見方・教え方を先生方が教えてあげてください。それができないなら答えを写せばいいことにしてください。どうしても嫌がる子どもには親が代わりにやってやればいいと言ってやってください。