愛媛大学代数セミナー

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2013年度の講演

  • 第8回 : 2014年2月10日(月) 16:30 -- 17:30
  • 講演者 : 北臺如法 (広島工業大学工学部)
  • 題目 : A pseudorandom number generator using an Artin-Schreier tower (a joint work with Song Huiling and Hiroyuki Ito)
  • 概要 : 疑似乱数,疑似乱数生成器は、計算機シミュレーション、暗号、 コンピュータ音楽、コンピュータゲームなど幅広い分野に応用される有用な数列である。 疑似乱数の「良さ」は、均等分布性、長周期性、生成速度などの観点により考えられる。 本講演では、有限体上の線形漸化式による疑似乱数の生成法、線形合同法として、 有限体の拡大列 Artin-Schreier 塔の構造を利用した疑似乱数生成器AST を提案する。 AST は上記の良さの観点のうち長周期性にメリットがあり、Artin-Schreier塔という 有限体列の構造から容易に実装できることが特徴である。 講演では特にその生成アルゴリズム、周期の評価、均等分布性について解説をするほか、統計的検定の結果も紹介する。
  • 第7回 : 2013年12月16日(月) 16:30 -- 17:30
  • 講演者 : 木本一史 (琉球大学理学部)
  • 題目 : アルファ行列式の置換による重み付き平均について
  • 概要 : アルファ行列式とは、行列式の定義において符号の部分をパラメタαのある冪に置き換えて定義されるものです。これは確率論への応用を企図して Vere-Jones (1988) によって導入されたものですが、パラメタの特殊化として行列式とパーマネントを含むことから松本詔・若山正人(2006)によって表現論的視点に立った研究が行われ、それをきっかけに私もアルファ行列式に関する表現論・組み合わせ論的な問題を考えて始めました。今回の講演では、アルファ行列式の対称群の上での(簡単な)重み付き平均について話をします。議論の副産物として、
    • ・対称群上の、あるヤング部分群に関する両側不変関数に対する“行列式公式”
    • ・Stanley (2003) による長方形ヤング図形に対応する対称群の既約指標値公式
    の別証明などが得られることも紹介する予定です。
  • 第6回 : 2013年11月18日(月) 16:30 -- 17:30
  • 講演者 : 大野泰生 (近畿大学理工学部)
  • 題目 : 多重ベルヌーイ数の性質について
  • 概要 : 多重ベルヌーイ数はポリログを用いたベルヌーイ数の一般化であり、リーマンゼータ関数の一般化のひとつである荒川-金子のゼータ関数を介して多重ゼータ値と繋がりをもつほか、様々な話題との結びつきが知られており、内外で研究が進められている。今回は、ベルヌーイ数と多重ベルヌーイ数の性質の比較を行うとともに、多重ベルヌーイ数の合同関係式と組合せ論的な性質についてもお話する予定である。
  • 第5回 : 2013年10月28日(月) 16:30 -- 17:30
  • 講演者 : 宮本雅彦 (筑波大学大学院数理物質科学研究科)
  • 題目 : 頂点作用素代数のガロア理論とその表現
  • 概要 : 頂点作用素代数という概念は物理における2次元の場の理論を代数的に扱ったものと理解されているが、元来は最大位数を持つ散在型有限単純群(モンスター単純群)と保型形式に纏わるムーンシャイン現象を説明するものとして生まれた。それゆえ、有限自己同型群を持つ頂点作用素代数の振る舞いは群論研究者として興味のある対象である。 丹原-花木-宮本によって、頂点作用素代数とその有限自己同型群に対して、部分頂点作用素代数と部分群の間には 1対1対応が付くことが証明されている。しかし、残念ながら、それを応用する為の基盤となる部分頂点作用素代数の表現論が全く完成していない。 最近の講演者の研究により、自己同型群が可解群の場合には、この問題がほぼ解決してきた。この講演では、可解自己同型群の場合に、表現論はどのようになるのか、また、非可解自己同型群に対して、どのような問題があるのかを、最も簡単な非可解単純群である5次交代群を例として、お話をする。
  • 第4回 : 2013年9月9日(月) 16:30 -- 17:30
  • 講演者 : 竹ヶ原裕元 (室蘭工業大学大学院工学研究科)
  • 題目 : 交代群におけるインボリューションの個数に関する 2-進的性質
  • 概要 : p-進整数環から対称群への準同型の個数に関する指数型母関数はアルティン・ハッセ指数関数として知られている。その p-進的性質を用いて、有限アーベル p 群から対称群への準同型の個数に関する指数型母関数のp-進的性質が示される。さらに、準同型の個数自身に関する p-進的性質も知られている。セミナーでは、最近の結果として、交代群におけるインボリューションの個数に関する 2-進的性質の解説をする。また、B 型ワイル群や位数 2 の巡回群の対称群による環積の場合にも、類似の性質を述べる。
  • 第3回 : 2013年6月10日(月) 16:30 -- 17:30
  • 講演者 : 鈴木正俊 (東京工業大学大学院理工学研究科)
  • 題目 : ある種の正準系の逆問題と自己相反多項式
  • 概要 : 表題にある正準系は, 複素数でパラメータ付けられたある一階の線形常微分方程式の族を指し, 数理物理における幾つかの微分方程式の一般化となっている. この正準系にはハミルトニアンと呼ばれる2×2行列値関数が付随しており, スペクトル解析などで重要な役割を果たす.しかしスペクトルの情報からハミルトニアンを復元することは一般に難しい. 今回はそういった逆問題の一種を解くことにより, 自己相反多項式の根がすべて単位円周上にあるための必要十分条件などが応用として得られる, という話をする.
  • 第2回 : 2013年5月13日(月) 16:30 -- 17:30
  • 講演者 : 三枝崎剛 (山形大学地域教育文化学部)
  • 題目 : 有限群に関連した擬テータ関数に現れる合同式
  • 概要 : 近年発見された Mathieu Moonshine 予想とは,あるモックテータ関数のFourier 係数と 24 次の Mathieu 群の既約表現の次元との間に関係があるだろう,というものでした.この現象は,現在 Umbral Moonshine 予想として一般化 され,そこにはラマヌジャンの発見した多数のモックテータ関数と有限群の関係が現れます.本講演では,Moonshine 予想に現れるモックテータ関数の Fourier係数の満たす合同式を紹介します.更にその合同式の Cheng-Duncan-Harvey 予 想への応用を示します.
  • 第1回 : 2013年4月22日(月) 16:30 -- 17:30
  • 講演者 : 伊吹山知義 (大阪大学名誉教授)
  • 題目 : ベクトル値2次ヤコービ形式の構造と次元公式
  • 概要 : 指数1の2次ベクトル値ヤコービ形式は半整数ウェイトの2次ジーゲル保型形式の new form の空間と同型で、重要である。この構造と次元公式をテーラー展開とテータ展開、および微分作用素などを組み合わせることによって、2次ベクトル値ジーゲル保型形式の直和に帰着し、その構造と次元を明示的に明らかにする。