愛媛大学代数セミナー

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2016年度の講演

  • 第40回 : 2017年3月30日(木) 16:30--17:30
  • 講演者 : 跡部 発(京都大学)
  • 題目 : Non-vanishing of local theta liftings
  • 概要 : 大域テータリフトは、志村対応や斉藤・黒川リフトなどの古典的なリフトを含む、一般的な保型形式の構成法である。大域テータリフトが非零であるかについて、Yamana と Gan-Qiu-Takeda による局所大域的な判定法がある。本講演では、局所テータリフトが非零であるかについての判定法を局所 Langlands 対応の言葉で与える。
  • 第39回 : 2017年2月14日(火) 17:00--18:00
  • 講演者 : 佐藤 眞久(山梨大学 大学院総合研究部)
  • 題目 : 有向グラフを用いた多元環の表現論について
  • 概要 : 有限次元ベクトル空間である環(多元環)の研究では、多元環上の加群を知ることが重要である。この加群は、直既約分解されるので、基本的には直既約加群を求めればよいことになる。この講演では、環論の専門家でない方を対象に、有向グラフを用いた多元環の表現論の概説を、上記の内容についての解説と幾つかの重要な結果を紹介し、これに関連する話題を取り上げることで行いたい。
  • 第38回 : 2017年1月20日(金) 16:30--17:30
  • 講演者 : 松岡 謙晶 (名古屋大学)
  • 題目 : 多重ゼータ関数の1次独立性と関数関係式について
  • 概要 : 多重ゼータ関数の整数点の値で定義される多重ゼータ値には、様々な関係式があることが知られています。この講演では、特殊値の関係式ではなく複素関数としての関数関係式を取り上げ、どのような関数関係式があるのか?という問題についてお話する予定です。
  • 第37回 : 2016年12月9日(金) 16:30--17:30
  • 講演者 : 片岡 武典 (東京大学)
  • 題目 : 複素三次体の一般Greenberg予想について
  • 概要 : 代数体の多重Z_p拡大体上の(不分岐)岩澤加群は岩澤理論における古典的な研究対象である.特に総実代数体の円分Z_p拡大体上の岩澤加群は有限であると予想されており(Greenberg予想),その一般化として,総実とは限らない代数体の最大多重Z_p拡大体上の岩澤加群は擬零であると予想されている(一般Greenberg予想).これらの予想は二次体についてすら未解決である.これまで一般Greenberg予想は虚二次体を始めとして主にCM体について考察されてきた.本講演では,総実でもCMでもないクラスである複素三次体に対して一般Greenberg予想が成り立つための十分条件を与え,その条件が多くの例について成り立つことを紹介する.
  • 第36回 : 2016年11月11日(金) 16:30--17:30
  • 講演者 : 萩田真理子 (お茶の水女子大学)
  • 題目 : 有限体上の誤り訂正符号系列の存在性と構成法
  • 概要 : 有限体上の誤り訂正符号系列は、周期Nの周期列でそのk-部分列の族がすべて異なり、最小距離dの誤り訂正符号をなすものとして定義されます。dが2e+1以上のときk部分列に現れるe個までの誤りを訂正でき、e-誤り訂正符号系列と呼ばれます。GF(q)上のm系列は周期q^n-1を持ち、(q^n-1,n,1)誤り訂正符号系列となります。これがe-誤り訂正符号系列として良いパラメータを持つための条件を与え、「1-誤り訂正符号系列として良いm系列が、2以上の誤り訂正符号系列としても良いm系列となるとは限らない」、「原始多項式でない多項式から生成した方が良い系列が得られることがある」という研究結果を紹介します。
  • 第35回 : 2016年10月21日(金) 16:30--17:30
  • 講演者 : 黒川信重 (東京工業大学理学院)
  • 題目 : 絶対ゼータ関数と絶対保型形式
  • 概要 : ゼータ関数は数学の至る所で活躍している重要な関数です。本講演では、ゼータ関数論の新たな発展である絶対ゼータ関数論を解説します。絶対ゼータ関数は一元体に基づく絶対数学におけるゼータ関数で、21世紀になって活発に研究されてきました。はじめは、有限体上の合同ゼータ関数の一元体極限として導入されたものです。絶対ゼータ関数は、通常のゼータ関数と深く関連していると同時に、多重三角関数や多重ガンマ関数の一般化にもなっています。さらに、絶対保型形式という視点に導かれます。このような様子が伝われば幸いです。
  • 第34回 : 2016年9月6日(火) 16:30--17:30
  • 講演者 : 落合啓之 (九州大学 マス・フォア・インダストリ研究所)
  • 題目 : リー理論と動画生成
  • 概要 : リー群やリー環は、多様体論や群論、あるいは、非結合代数を 基盤に置くと、準備が多く敷居が高い印象を受ける。 一方で、コンピュータ・グラフィックスを用いた アニメーションの作成では、回転や運動や変形を組織的に用いることがある。したがって、実質的にリー理論に相当する内容を、手早くかつ正確に使える形で理解できることが望ましい。昨年度末にCRESTプロジェクトの一環としてこれらの目的の一助となるようなビデオを作成した。このビデオを見てもらいながら、リー理論が動画生成に活かされる一側面に触れる。(リー理論やCGに関する予備知識は仮定しません。)
  • 第33回 : 2016年8月26日(金) 16:30--17:30
  • 講演者 : 横山俊一 (九州大学)
  • 題目 : Explicit methods to compute elliptic curves and related structures
  • 概要 : 代数体上定義される楕円曲線、および関連する構造物を明示的に計算する手法について、最近の進展状況を解説する。とくに有理点・整数点の計算(講演者の結果を含む)、torsion part の決定について重点的に述べ、これらのデータベース化(LMFDB project)に関しても紹介する。時間が許せば Balakrishnan, Stein らによる、特別な楕円曲線についての rank distribution に関する最新の結果についても紹介したい。
  • 第32回 : 2016年7月22日(金) 16:30--17:30
  • 講演者 : 清水健一 (芝浦工業大学)
  • 題目 : テンソル圏における指標の理論
  • 概要 : 群(あるいはもっと一般に量子群やホップ代数)の表現論においては、テンソル積表現や双対表現などといった与えられた表現から新しい表現を作り出す構成が存在する。テンソル圏とは、このような構成が持つ性質を抽象化するような構造を持った圏であり、様々な分野において理論を記述するための基礎的な枠組みとして重要である。近年のテンソル圏の研究では、低次元トポロジー、作用素環論、共形場理論などに由来するアイデアが有効に用いられてきた。量子群やホップ代数の技法も、テンソル圏の理論に多大な貢献を果たしている。しかしながら、ホップ代数の理論における基本的な事柄で、まだ圏論的な側面からの理解が与えられていないものが多数あることも事実である。本講演では、有限群および有限次元ホップ代数の指標理論が如何にテンソル圏へと拡張されるのかを紹介したい。より詳しくは、ある種のテンソル圏に対して『類関数の空間』『対象の指標』『共役類』『指標表』などの概念が Drinfeld center を用いて定義され、さらに、それらが有限群の場合とほぼ同様な振る舞いを見せるということを紹介する。
  • 第31回 : 2016年6月17日(金) 16:30--17:30
  • 講演者 : 鈴木雄太 (名古屋大学)
  • 題目 : 素数 vs. 素数べき
  • 概要 : 素数の分布に関する問題は未解決なものばかりですが,素数に関する問題を集めたリストとして『E. Landauの4つの問題』 (1912) があります.この講演では,Landauの問題のうち第1問題および第3問題に関連した問題を扱います.Landauの第1問題とは「n^2+1の形の素数は無限に存在するか?」という問題で, Landauの第3問題とは「差が2であるような素数の組は無限に存在するか?」という問題 (双子素数問題) です.そこでこの2つを組み合わせた「差が与えられた定数であるような素数と素数べきの組は無限に存在するか?」という問題を考えましょう.この問題の例外集合評価についてC. Bauer (1998) の結果の改善が得られたので,これについて報告したいと思います.
  • 第30回 : 2016年5月13日(金) 16:30--17:30
  • 講演者 : 栗原将人(慶應義塾大学)
  • 題目 : 同変岩澤主予想
  • 概要 : 総実代数体のCM abel 拡大に対して、Wilesによって証明された岩澤主予想は円分Zp拡大上の岩澤加群とp進L関数との関係を与えるが、Galois群の指標成分を取って比べるため岩澤加群のある種の情報が失われている。指標成分を取らない同変的な定式化もいろいろと提起されているが(たとえば、Kato,Fukaya-Kato, Greither-Popescu, Burns-Kurihara-Sanoなど)、それらはすべて、代数的対象として岩澤加群を、ゼータ値にふさわしいもの(ある種のcohomology群など)に変更した定式化になっている。この講演では、代数的対象を古典的岩澤加群そのものとした同変岩澤主予想を与える。これはC. Greitherとの共同研究(一部、H.Tokioも加えた共同研究)である。
  • 第29回 : 2016年4月22日(金) 16:30--17:30
  • 講演者 : 金井雅彦 (東京大学)
  • 題目 : 複比とその仲間たち
  • 概要 : 複比と,その仲間ともいうべきシュワルツ微分やパラケーラー構造,あるいは測地カレントがこの物語の主役たちです.とくに群作用等に関する剛性問題において彼等が活躍する様子をご覧頂ければと思います.