愛媛大学代数セミナー

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2014年度の講演

  • 第17回 : 2015年3月2日(月) 16:30--17:30
  • 講演者 : 佐々木洋城 (信州大学 総合人間科学系)
  • 題目 : ブロック・イデアルのソース多元環の加群構造
  • 概要 : 有限群の群環を直既約な両側イデアルの直和に分解したときの直和因子をブロック・イデアルまたはブロック多元環と呼ぶ。群環上の直既約加群は一つのしかもただ一つのブロック多元環によって零化されない。ブロック多元環ごとに加群を分析することが課題である。さて、ブロック多元環にはソース多元環という別の多元環が付随する。ソース多元環とブロック多元環は森田同値であり、原理的にはソース多元環の情報からブロック多元環が復元できる(ハズである)。しかし、現実にはそうは簡単ではなく、様々な困難があり、ソース多元環の加群としての構造さえ不明なのである。今回はその加群構造についての新発見の定理を紹介したい。
  • 第16回 : 2015年1月26日(月) 16:30--17:30
  • 講演者 : 原隆(東京電機大学未来科学部数学系列)
  • 題目 : 擬零部分加群の自明性と特性イデアルの特殊化について
  • 概要 : 大学の代数学の講義でも扱われるように、単項イデアル整域上の有限生成加群の構造がいわゆる「構造定理」によって詳細に記述されることは広く知られている。一般の係数環上の有限生成加群に対しては勿論これほど精密な「構造定理」は成り立たないが、例えば係数環が正則局所環である場合には、擬零加群と呼ばれる「(相対的に)小さい」加群を無視して考えると全く同じ形の「構造定理」が成り立つ。この「構造定理」を用いて定義さ れる特性イデアルは、加群の「大きさ」を測る指標として非常に重要な不変量であるが、擬零部分加群の影響を無視して定義されていることから、一般に係数拡大に対する整合性を持たないという致命的な弱点を有することが宿命づけられている。本講演では、考えている加群が非自明な擬零部分加群を持たないならば、適切な条件下で特性イデアルが (高さ1の素イデアルによる) 商に対して整合的に振る舞うことを解説した後、その岩澤理論への応用について論じる (部分的に落合理 [大阪大学] との共同研究の内容を含む)。
  • 第15回 : 2014年12月8日(月) 16:30--17:30
  • 講演者 : 山本修司(慶應義塾大学理工学研究科)
  • 題目 : 多重ゼータ値と川島関数
  • 概要 : 川島関数とは,多重調和数を係数とするNewton級数として定義される関数であり,古典的なポリガンマ関数のある種の多重化と見ることができる.この講演では,多重ゼータ値の関係式への応用を含む川島学氏の仕事や,川島関数の積分表示に関する講演者の結果などを紹介する.
  • 第14回 : 2014年11月10日(月) 16:30--17:30
  • 講演者 : 山田裕理 (一橋大学経済学部)
  • 題目 : 符号に付随する頂点作用素代数
  • 概要 : kを2以上の整数とする。整数環の剰余環$\mathbb{Z}_k$上の長さnの符号に対して,有理的かつ$C_2$余有限な頂点作用素代数を構成する。kが2および3のときは,この頂点作用素代数はすでに詳しく研究されている。本講演では,パラフェルミオン頂点作用素代数の表現論を用いて,符号に付随する頂点作用素代数を任意のkについて拡張する。kおよびnが小さい場合の例として,モンスター単純群と関係するものについても紹介する。
  • 第13回 : 2014年10月20日(月) 16:30--17:30
  • 講演者 : 合田隆 (東京大学大学院工学系研究科)
  • 題目 : 多次元数値積分の実用的アルゴリズムとしての準モンテカルロ法
  • 概要 : 多次元積分は金融工学を主とする様々な工学的問題に現れる。近似的に積分値を計算するための古典的アルゴリズムとして、積分領域に一様ランダムな点集合をとるモンテカルロ法がある。しかし、積分誤差の収束が十分に早いとは言えず、実用上の要請から収束オーダーの改善が望まれる。そこで、より"良い"点集合を決定的にとることで高次収束を達成するのが準モンテカルロ法である。ここで、点集合の"良さ"は考える関数空間に応じて適切に選ばれるものである。本講演では、点集合の良さを測る代表的な指標であるdiscrepancyや、discrepancyの小さい点集合の構成法、最近の展開などについて、講演者の成果を交えながら紹介する。
  • 第12回 : 2014年8月11日(月) 16:30--17:30
  • 講演者 : 織田孝幸 (東京大学大学院数理科学研究科)
  • 題目 : 種数2のSiegelモジュラー多様体の幾何
  • 概要 : 種数2のジーゲルモジュラー多様体のコホモロジーと、関連する保型形式に関して、「古典的な」基礎的な事実を概観したのち、ここ20年くらいの自分の研究や、最近の研究(自他含めて)の簡単な紹介をする。そこでは幾何と解析と代数が密接に関連するが、その「曼陀羅世界」を少しでも感じてもらえることが希望である。
  • 第11回 : 2014年6月9日(月) 16:30--17:30
  • 講演者 : 山内博 (東京女子大学)
  • 題目 : 散在型単純群とコンウェイ-宮本対応
  • 概要 : モンスター単純群には位数 2 の元には二つの共役類があり、 それぞれ 2A, 2B と名付けられている。 モンスターの 2A 元は様々な興味深い性質を備えており、その一つとして コンウェイ によるグライス代数における軸ベクトルとの対応が挙げられる。 グライス代数とはモンスターを実現するために構成された 196,884 次元の 可換非結合的代数であり、モンスターをその自己同型群に持つ。 コンウェイはモンスターの 2A 元とグライス代数におけるある種の巾等元との 間には1:1対応関係があることを発見した。 その後、この対応は宮本氏により頂点作用素代数の視点から見直され、 いわゆる宮本の自己同型によって与えられるモンスターの 2A 元と c=1/2 ヴィラソロ元のと間の1:1対応関係として定式化された。 このように宮本の自己同型によって与えられる位数 2 の元と ヴィラソロ元の対応関係をここではコンウェイ-宮本対応と呼ぶ。 本講演ではベビーモンスターや24次および23次のフィッシャー群など、 モンスター以外の散在型有限単純群に対してもコンウェイ-宮本対応が 成り立っていることを紹介する。
  • 第10回 : 2014年5月26日(月) 16:30--17:30
  • 講演者 : 高橋浩樹 (徳島大学工学部)
  • 題目 : 代数体の岩澤不変量について
  • 概要 : 有限次代数体のZ_p-拡大の中間体のイデアル類群の位数のp-部分の指数は,線形的増加を表す岩澤lambda不変量,指数的増加を表すmu不変量,補正項のnu不変量によって記述される.これらの不変量と岩澤加群との関係,岩澤加群に関する種々の予想(muに関する岩澤予想,岩澤主予想,Greenberg予想等)について解説した後,p=2に対する岩澤不変量のZ_l-拡大における挙動に関する近年の結果(市村文男氏と中島匠一氏との共同研究)についてお話ししたい.
  • 第9回 : 2014年4月21日(月) 16:30--17:30
  • 講演者 : 松本耕二 (名古屋大学多元数理科学研究科)
  • 題目 : Functional equations for double series of Euler-Hurwitz-Barnes type with coefficients
  • 概要 : A kind of functional equation for the Euler double zeta-function was first discovered by the speaker in 2004. In this talk we will discuss various results around functional equations for double zeta-functions, and will report new functional equations, obtained in a joint work with YoungJu Choie, for double series of Euler-Hurwitz-Barnes type with coefficients.